子どもの不登校が始まってしばらく経った頃、ほとんどの親御さんはこう考えます。
「とにかく早く学校へいってほしい(復学してほしい)」
これはある意味当然の考えで、子どもにとっても自分にとっても最も望ましい解決の方向だと思います。
しかし、少し考えてみてください。
「この状況(不登校)は、果たして学校へ行けば解決するのだろうか」と。
この記事では、不登校は「学校へ行くこと」で解決するのかどうかという観点で考え、書いていきます。
とにかく学校へいってほしい、復学してほしいという考えで頭がいっぱいになっている親御さんにぜひお読みいただければと思います。
この記事の目次
実は、不登校が本当に解決する方法は、ただ学校へ行くことではないんです。
学校へ行けなくなってしまった原因として何かのキッカケがあったはずで、さらにそのキッカケの要因となっている「子ども自身の内面の問題」があるはずなんです。
この内面の問題を解決することこそが、不登校の解決になる唯一と言ってもいいポイントなんですね。
内面の問題にも様々ありますが、当サイトで頻繁に取り上げているのは「自己肯定感」や「自信」というもの。
子どもの自己肯定感を高め、自信を持って生きていけるようになれば、不登校の問題だけではなく、大人になった後も含め多くの場面で挫けず前に進んでいけるようになるでしょう。
自己肯定感を高めることなく、学校へ復学させた場合。
これはつまり、問題解決をしていないのに形だけ取り繕っているとも言えるでしょう。
こうなってしまうと、また少しの間を空けて不登校が再発する恐れが強いです。
これは他の病気や怪我を例にして考えてみればすぐわかることだと思います。
例えばマラソン選手が練習中、走っていて右足を捻挫した場合を考えます。
通常は、適切な処置をした後しばらくの期間は練習を中断すると思います。
少し日にちが経って回復してきたら、軽いメニューから徐々に強度を高めた練習へと続けていき、最終的に通常メニューでの練習に戻し、試合に出場させていくでしょう。
それなのに、足を痛めてもコーチが練習を継続させるとどうなるか。
右足は安静にしていないと回復が遅くなるのはもちろんのこと、右足を庇って走るために左足や上半身、関節などにも負担がかかり、他の箇所も怪我をするリスクが高くなります。
結果、全体の回復が必要になったり、へたをすると選手生命の危機・・・なんてこともあり得ます。
不登校の場合もこれと同じで、一番大きな原因である内面の問題(例で言う「右足の捻挫」)をしっかり回復させてから、学校へ復学させる(例で言う「通常メニューの練習や試合」)ようにしないといけません。
子どもがだんだん大きく育ってきて一人前に近い存在になると、「子育て」という意識も少しずつ薄らいでいきます。
学校へ行くのが当たり前になり、親の目の届かない場所で様々な経験をしている子どもを見ていると、「ああ、昔の手のかかる頃に比べるとだんだん楽になってきたなぁ」なんて思うかもしれません。
しかし子どもは子ども。
困った時や悩んでいる時に自力で解決できることばかりではないんですね。
やはり親の力は偉大で、まだまだ子育て期間は必要だと言うことです。
子育てのゴールはなんだろう?と考えてみると、「不登校を解決すること」そのものではないのがわかると思います。
様々な問題や壁にぶつかる中の1つが「不登校」という状態のはずです。
「子育てのゴールとは?」という問いに完璧な回答はないのかもしれませんが、1つ挙げるのなら、「子どもが自立できるようにすること」ではないでしょうか。
子どもが自立し、自分の力で幸せに生きられるようになることが、子育てのゴールの1つと言っても差し支えないでしょう。
そういう観点で考えていくと、自己肯定感を高め、その後の人生も自信を持って生きていけるようになる手伝いや手引きをしてあげることが大切だというのがわかると思います。
自己肯定感をしっかり持った子どもだと、学校を卒業した後の人生で何かの壁にぶつかったとしても、自力で乗り越えていける可能性が高まるのは間違いありません。
大人も同じですが、問題や悩みというのは生きていればいくらでも湧いてきます。
学校に行くことそのものではなく、自己肯定感を育てることが最も大切なポイントと言えるでしょう。
この記事は、「不登校の解決は学校に行くことなのか」という観点で書いてきました。
確かに学校に行くことで不登校問題は解決したように見えますが、実は原因となる「子どもの内面の問題」を解決していなければ意味がありません。
「学校に1度でも行ったのだから、その後また休むようになっても不登校ではない」というのは単なる屁理屈。
それよりも、子どもの内面の自己肯定感を高め、自分に自信を持てるように手引きしてあげるようにしましょう。
子ども自身の心が育ち、しっかり地に足をつけるようになれば、自然と不登校の問題は解決する傾向にあります。
親としては「なんとしても学校に早く行ってほしい」と思うところはあるでしょうが、そう口にしたいのをグッと堪え、あらためて「子育てのゴール」について考えてみるのも良いと思いますよ。