「自分の子どもは発達障害のような気がするけど、実際に病院へ行って診断されるのが怖い・・・」とお考えの親御さんは多いのではないでしょうか。
今のところは「なんとなく、それっぽい」というグレーゾーンだったのが、医者の診断により白黒はっきりしてしまうことで、自分も周りもその子を見る目が変わってしまうかもしれない。
診断されることに対して、ある種の恐怖があるのは否めません。
おそらく多くの方は同じように思っているはずです。
こうした診断は早い方がいいのでしょうか。
それとも、遅い方が(しない方が)いいのでしょうか。
結論から言うと、発達障害かどうかの診断は早い方がいいと考えています。
そのことについて順番に解説していきますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
なぜ発達障害かどうかの診断が早い方がいいのか。
それは、『早くからわかっている方が、その子にとっての支援(フォロー)がしやすくなるから』です。
発達障害は強すぎる個性の現れであるのですが、そのことがわかっていないと、たとえ両親であっても子どものことを理解してあげられにくくなるものです。
特にご夫婦2人の子育てに対するアプローチ方法に差が出てしまうことで、意見のすれ違いにより関係が悪化してしまうケースもあるくらいです。
「なんとなく発達障害っぽいけど、はっきり言われているわけでもないし、そう思わない(考えない)ようにしておこう」という頭では、他の子ができる簡単なことができない我が子に対してイライラしてしまうかもしれません。
もしくは、「子どもに対してお母さんは理解してあげられているけどお父さんは理解してあげられていない(あるいはその逆)」というアプローチになり、親子・夫婦関係がギクシャクしてしまうかもしれません。
場合によっては、喧嘩したり、塞ぎ込んでしまうこともあるでしょう。
それが専門家の診断ではっきりと「発達障害である」とわかってくると、両親それぞれのアプローチが同じ方向になり、円満な関係を作ることにつながってくるでしょう。
大事なのは診断名をつけることではなく、その子の個性(特性)を見つけることなんですね。
もし子どもの診断を後回しにしていた場合。
個性やその子の特性を知ることができず、「なぜこうなんだろう」「なぜこれができないんだろう」と苛立ちが募ってくるかもしれません。
苛立ちはその後、子どもに対して怒鳴ったり、手をあげたりしてしまうことに繋がるかもしれませんよね。
こうした状態の親を見ていると、子どもは毎日が不安になってきます。
そしてそれらの行動を、自分自身の行動パターンとして学習していきます。
例えば子どもがADHDだった場合。
今やっている事の他に気になることがあると、どうしてもやってしまう特性を持っています。
宿題の途中でテレビが気になったらどうしてもテレビを見てしまうのです。
ADHDであることがわかっていれば、例えばテレビのある方を背中にして視界に入らないように座らせて宿題に取り組むようにしたり、テレビが無い部屋をセッティングしてそこで宿題をするようにすればこの問題は解決できます。
しかしADHDであることがわかっていないと、「テレビを消しなさい!」というように怒鳴りつけ、宿題をさせようとするかもしれませんよね。
これが続くと、そのうち「親が怒鳴っている=怒って怖いから言うことを聞く」という思考になり、なぜ怒っているのかなどを考えられなくなってきます。
つまり、真の意味で改善していくことができなくなってくるのです。
また、叱られ続けると自尊心が育ちません。
自尊心がない子どもは何をするのも自信がなく、前向きにチャレンジしていこうという意欲を持たなくなります。
もちろん、怒鳴りつけることを続けると親の方にも悪影響。
子どもをうまく躾られない自分に嫌悪感を抱き、うつ病になるなど精神的にやられてしまうかもしれません。
この状態の親を見た子どもは、「自分のせいで親が困っている」という良くないイメージを持って育っていきます。
子どもは親を見て育つので、よく考えると当たり前の結果になるんですね。
この記事では、病院で発達障害の診断を受けるのは早い方がいいのか、遅い方がいいのかということについて書いてきました。
当記事での結論は、早い方がいいというものになります。
「病院で診断する」と聞くと、何か重大な判決を受けたように感じるかもしれませんが、そうではありません。
診断してはっきりすることで、その子について理解して認識を共有できるようになり、その後の対応や支援方法を考えられるようになってきます。
支援がしっかり整ってくると、子どもは本来の良さをどんどん発揮できるようになってくるでしょう。
診断されることがゴールではなく、そこからスタートするんですね。
病院で診断されるとその後支援し続けないといけなくなるので大変かもしれない・・・そう考えてしまうかもしれませんが、
もし診断を後回しにしていた場合、成長した後に大きな問題になる場合も多いようです。
親も含めた周りの人は、「成長して大人になったその子」に対して今までしていなかった支援を突然強いられることに対応できず、冷たい態度を取ったり離れてしまうケースも多々あります。
結果、二次的に生じる問題(二次障害)を引き起こしてしまい、大人になってからの引きこもりや就労支援が必要になることも。
これは早くから発達障害であることがわかっていれば、結果は変わっていたかもしれません。
グレーゾンから、「我が子が発達障害である」という白黒はっきりした現実を知りたくないというのはよくわかります。
しかし、将来の我が子を助けるためにも、気になっている方は早めに診断を受けることをおすすめいたします。
この記事が子育ての助けになっていれば幸いです。