気に入った対象には、周りが驚くほどの興味と集中力を示すのが発達障害のお子さんです。だからこそ、習い事を通じてさまざまな体験をさせてあげたいものですよね。でも一般の子と同じレッスンを受けさせても大丈夫か、どんな習い事が良いのかなど、心配も尽きないものです。
今回は発達障害のお子さんにおすすめの「習い事」と、選ぶ際に気をつけたいチェックポイントを解説します。「うちの子はどんな習い事が向いていそうかな」と想像しながら、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
この記事の目次
習い事を選ぶときには、お子さんの特性をよく踏まえることが大事。習い事選びに迷いやすい、自閉スペクトラム症およびADHDのお子さんの特性をまとめました。
● 自閉スペクトラム症の特徴
・言葉や視線、表情、身振りなどを解釈することが苦手
・相手の気持ちを読み取ったり、自分の気持ちを伝えるたりするのが苦手
・特定のことに周囲が理解しきれないほどの強い関心をもつ
・こだわりが強い(予測できないことが苦手)
・感覚が過敏
● ADHD(注意欠如・多動症)の特徴
・じっとしていられない、座っていられない
・集中や注意が持続しない
・人の話を最後まで聞くことが苦手
・1つのことを最後までやり続けることが苦手
・やるべきことをすぐ忘れてしまう
発達障害特有の行動は、自分自身で意識的にコントロールできないものです。「言って聞かせればわかる」というものではないので、習い事を選ぶ際には十分考慮しましょう。
たとえば周囲とコミュニケーションをとることが苦手なお子さんに、集団の中で仲間とのやりとりが必要になる習い事をさせようとしても…、きっと難しいですよね。
あるいは多動傾向があるお子さんに、静かに待つ時間が長い習い事は向いていないと考えられます。
その上で発達障害のお子さんにおすすめできるのは次のような習い事です。
発達障害のお子さんには集団より一人で取り組める習い事がおすすめです。
相手の気持ちを察することが苦手だったり、とっさに手が出てしまうこともあるのが発達障害の特徴。たくさんのメンバーと取り組む習い事では、周囲から誤解されたり、不要なトラブルが生まれたりすることもないとはいえません。
一人で自分のペースで取り組めるものは、そういった心配がないので安心して預けられます。
発達障害のお子さんは、ルールが複雑だったり、周囲と協力して進めないといけないものは苦手な傾向があります。自分のペースで取り組みたい、という気持ちがとても強いという特徴があるからですね。
子どもたちにはサッカーや野球といったスポーツも人気ですが、これらのスポーツはルールも多く、個人のペースで進められるというわけでもないので、あまりおすすめできません。スポーツをやらせたい場合は、陸上や空手、体操など個人競技を検討してみてください。
自閉スペクトラム症の子は典型的ですが、ADHDやLDのお子さんも自分が興味を持ったものに対しては周囲が驚くほどの集中力を見せることがあります。普段はそわそわ落ち着かない子が、ひとたび関心を持つと数時間集中し続けるというケースも。
この特性を考えると、周りから干渉を受けずにできる習い事も良いでしょう。一人で家でもできる内容なら、帰宅後も続けられるので興味の芽を一層伸ばしてあげられますね。
とくにADHDのお子さんは、じっとしていられない・常に動き回っていたいという特徴が強く出ることが多いですよね。そんなお子さんには、めいっぱい身体を動かせる習い事もおすすめです。
うまくのめりこめば、習い事が楽しくて仕方ない、もっとやりたいと意欲を引き出すこともできます。また身体を動かす楽しさを通じて、コーチや仲間とすんなり人間関係を築けることもあるようです。
ここまでまとめてきた4つのポイントを踏まえた、発達障害のお子さんにおすすめできる習い事は次の5つです!
● スイミング
● ダンス
● ピアノ、楽器
● 絵画、書道
● プログラミング、ロボットづくり
発達障害のお子さんには水が好き!というケースも多く、また基本的に一人で取り組むスイミングは相性が良いといわれています。また仕切られたコースを泳ぐという点でも◎。周囲を気にする必要がないので、泳ぐことに集中できるという声も。
また音楽系もおすすめです。音楽に合わせてテンポよく身体を動かせるダンスは、多動性のお子さんにピッタリの習い事!またピアノや楽器に興味を示す発達障害のお子さんもたくさんいます。身体を動かしたいか、じっと集中したいかなど、お子さんの様子を見てあげてくださいね。
絵画や書道、プログラミング、ロボットづくりなどは「一人で、自分のペースで集中できる」という点でおすすめです。とくにプログラミングは小学校でも必修になり、親が考える以上に子どもたちにとっては親しみやすいテーマになってきています。教えてくれる教室やオンラインでの受講もできますので、検討してみても面白そうですよ。
最後に、発達障害のお子さんの習い事を選ぶ際に、気をつけたいチェックポイントをまとめます。
まず何より、お子さん本人が興味を持ち「やりたい」と思っているかどうか、という点を重視してあげてください。
発達障害のお子さんがいると、つい「できないこと」ばかりが目についてしまうという親御さんも多いでしょう。できないことをできるようにしてあげよう、伸ばしてあげようという親心はもちろん大切です。しかし習い事に関しては、通うお子さん本人が「やりたい」と思っていなければ長続きしません。
「親がやらせたいと思うもの」と同時に「お子さんが興味を持ちそうなもの」もいろいろと見せてあげてください。思いがけないものに興味を持ち、道が広がるかもしれませんよ。
発達障害のお子さんが通う場合、教室の規模も意外と大切です。
大規模なスクールは人数が多く、騒がしさだけで嫌になってしまうということも考えられます。また待ち時間が長いと、待っている間にふらふらとどこかに行ってしまう、なんてことも。
一方、小規模スクールならいいかというと、それも難しいところです。指導者やスタッフ、他のレッスン生との距離が近い分、人間関係作りのむずかしさが課題になる場合もあるからです。
習いごとの内容と教室の規模を比較し、お子さんに最適な規模を見極めるという視点も持っていると良いでしょう。
発達障害に理解がある、もしくは子どもたちの多様な個性・行動に理解がある先生が運営している習い事なら安心できますね。
発達障害の子は気分の向くままに行動しがちですが、それを「集団の和を乱す」と厳しく叱責したり、あるいは先生の手がかかることを「あの子ばかり特別扱いしてもらっている」と周囲に見られたりするのも不本意ですよね。
子どもたち一人ひとりの多様性を受け入れてくれる先生かどうかを見るというのも大切なポイントです。
体験レッスンは必ず受けるようにしましょう。体験レッスンを受けると、見学だけではわからない実際の様子がよく分かります。
お子さんがスイミングをやりたいと言ったとしても、実際にやってみたら「水着のピタッとした感触がいやだった」という場合もあります。ダンスも「音が大きくてうるさかった」というかもしれません。
発達障害は感覚が過敏なことがあるのが特徴です。またお子さんが言葉にし切れない、小さな違和感もあるかもしれません。
本格的に始めてみてから「期待と違った」という事にならないように、体験レッスンは必ず受け、お子さんの話をよく聞いて決めることがが大切です。
発達障害のお子さんは、往々にして学校では挫折感を味わいがちです。ならば学校以外の場所で、思う存分没頭できることを見つけてあげましょう!ひとつのことにトコトン入り込める、集中できるのが発達障害の子の強味です。
お子さんが興味を持ったこと、やってみたいと思った意欲を大切に、お子さんにピッタリの習い事に出会えることを応援しています。
教育相談の窓口では、発達障害、グレーゾーンに悩むお母さまから日々多くの相談を受けています。公的な機関とは違う目線で専任スタッフがアドバイスいたします。料金はかかりません。「誰かに悩みを聞いてほしい」そう思ったら一度相談してみてください♪