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学習障がい

発達障害・グレーゾーン児の勉強法をタイプ別に解説します。

2021.08.18
発達障害・グレーゾーン児の勉強法をタイプ別に解説します。

発達障害は周囲と同じ内容・ペースで学習することが困難だというだけで、決して勉強に取り組めないというわけではありません。発達障害を乗り越え、夢をつかんだ人も大勢いるのがその証拠です。

ただし「お子さん本人に合った」勉強方法を見つけることカギになるため、親や先生をはじめ周りの大人の理解とサポートは欠かせません。

今回は我が子が発達障害、あるいはグレーゾーンで勉強方法に悩んでいるという親御さんに向けて、発達障害の場合の最適な勉強法を解説していきましょう。

この記事の目次

発達障害は大きく3タイプに分けられる!

「発達障害」とは、生まれつき脳の働き方に違いがあり、それが原因で行動面・情緒面などに特徴がある状態を指します。特徴は幼児期からあらわれるため、「周りの子とちょっと違う気がする」「育てにくい」と育児の悩みの原因になったり、子ども自身が困ったと感じるようになったりすることもあります。

この発達障害は、大きく3つのタイプにわけることができます。同じ障害名でも特徴の出方が異なることもありますし、複数の発達障害をあわせ持つこともあります。まずはそれぞれの特徴をよく理解することから始めましょう。

ASD|自閉スペクトラム症

以前は「自閉症」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」など、さまざまな名称で呼ばれていましたが、現代では「自閉スペクトラム症」とまとめられています。
自閉スペクトラム症は100人に1人いるとも言われており、「コミュニケーションや気持ちを読み取ることが苦手」「自分だけの強いこだわりがある」といった特徴があります。

● ASD(自閉スペクトラム症)の特徴
・言葉や視線、表情、身振りなどを解釈することが苦手
・相手の気持ちを読み取ったり、自分の気持ちを伝えるたりするのが苦手
・特定のことに周囲が理解しきれないほどの強い関心をもつ
・こだわりが強い(予測できないことが苦手)
・感覚が過敏 など

幼児期では「視線が合わない」「母親に関心を持たない」「普段と違ったスケジュールで動こうとするとパニックになる」といった行動が気になって受診し、診断を受けることもあります。

一方、自分の世界に入り込むと高い集中力を持続させることができるため、特定の分野で目覚ましく才能を開花させることもあるのがASDの人です。

LD|学習障害

LD(学習障害)は、全般的な知的発達には問題がありません。ただ「聞く/読む/書く/計算する」など特定の学習のみに困難が認められる状態です。

● LD(学習障害)の特徴
・文字を一つ一つ拾って読む
・単語や文節の途中で区切って読む
・文字間や単語間が広いと読めるが、狭いと読み間違えたり行を取り違えたりする
・音読み、あるいは訓読みしかできない

日本での調査によると、LDだと思われる児童生徒は4.5%程度存在するといわれています。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)をともなう場合もあります。

チック症、吃音などがあらわれる場合も

発達障害にはチック症や吃音も含まれます。

チック症とは本人の意志とは無関係に起こってしまう素早い身体の動きや発声のことです。まばたきや咳払い、声が出てしまうという一時的なチックは多くの子どもにあることですが、1年以上にわたって強く持続し、日常生活に支障をきたす場合は医療機関に相談すると良いでしょう。

吃音とは音を繰り返したり延びたり、なかなか話始められないなど、滑らかに話すことが困難な状態をいいます。「どもり」ともいわれます。2〜4歳の幼児の約5%に認められ、小学生までに治る子も多いといわれています。

勉強は発達障害のタイプ別に工夫して取り組ませると◎

お子さんが発達障害、あるいはグレーゾーンだったという場合は、一般的な学習方法で勉強させようとしても親子で苦しくなってしまいます。本人の特性に配慮した勉強方法を取り入れることが大切です。

ASDのお子さんの場合

ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんが持つ「こだわりが非常につよい」「新しいことが苦手」という点を活かした勉強法を紹介します。自分が「これ!」と思ったことに対しては高い集中力を発揮するのが自閉スペクトラム症なので、まずは本人が意欲を感じられる内容に向かわせてみてください。

● 「こだわりが強い」特性を活かす学習法
・教材は本人が満足するまで取り組める十分な量を確保する
・図や絵など視覚情報を取り入れた教材を活用する
・短時間の集中を繰り返す

● 「新しいことが苦手」というい特性を活かす学習法
・復習より予習を重視する
・勉強の予定表を作り、やることを明確にしておく

自閉スペクトラム症のお子さんは今日の予定や自分がすべきことを把握できていると、安心して取り組める傾向があります。急な予定変更はパニックの原因になるので、できるだけ毎日同じルーティンで取り組めるように計画してあげると良いでしょう。

また耳で聞くよりも目から入る情報の方を好むお子さんが多いようです。色やデザイン、大きさなど、さまざまな教材を試してみてください。

ADHDのお子さんの場合

ADHD(注意欠如・多動症)のお子さんが持つ「じっとしていられない」「不注意が多い」という特性を踏まえた勉強法を見てみましょう。ADHDは、言いかえれば「フットワークが軽い」「好奇心旺盛」ということでもあります。無理強いするのではなく、本人のペースや興味を尊重した取り組みを工夫してみると良いでしょう。

● 「じっとしていられない」特性を活かす学習法
・短時間で終わる教材に取り組ませる
・集中を妨げるものはかたづける、静かな環境を用意する
・どうしても動きたいときは「すぐに戻る」というルールを約束させ、動いても良いとする

● 「注意力散漫」な特性を活かす学習法
・集団より個別、マンツーマンで指導する
・問題数が少ないシンプルなプリントに取り組む
・教科にこだわらず、さまざまな分野や種類のプリントを用意する

ADHDのお子さんが勉強する際は、まず環境を整えてあげることが重要です。マンガやおもちゃが散らかっていたり、周囲が騒がしかったりすることは、注意がそちらに向いてしまう原因になります。できるだけ静かで落ち着いた環境を確保してあげてください。

また短時間で終了できる「プリント」教材にすることも良い案です。1枚すべて取り組めたという達成感は自信になり、積み重ねになっていきます。

LDのお子さんの場合

LD(学習障害)のお子さんは、「読字・書字障害」と「算数障害」に分けられます。お子さんは読み書きや文字が苦手でしょうか、それとも計算が苦手でしょうか。それぞれに向けた勉強法の工夫を見てみましょう。

● 読字・書字障害の場合
・単語をや短文を繰り返し読む練習をする
・漢字は「へん」と「つくり」を分解して覚える。語呂合わせも良い。
・文章を「スラッシュ(/)」などで区切り、わかりやすくしたものを読ませる
・文字を大きくしたり、色を変えた教材を活用する
・いま読んでいる行以外を隠して読む

● 算数障害の場合
・計算はおはじきや計算棒を使う、「さんすうセット」を活用する
・数字以外の符号(+ – × ÷)には印をつける
・2桁以上の計算は、位の違いで数字を色分けする
・計算はマス目のあるノートを使う
・文章問題は絵や図に描いて理解を高める

読字・書字障害は文字情報と音声情報の置きかえがスムーズにできないことが特徴で、算数障害は数の概念が理解しずらいという特徴があります。知的な遅れがないので気付かれにくく、小学校の勉強が始まることで判明するケースも多いのがLDです。

お子さんの取り組みをよく観察し、どのような点に困っているのかを察知してあげてください。その上でお子さんが使いやすい教材や題材を与えてあげることが大切になります。

発達障害のお子さんに関わるときに大切なこと

発達障害のお子さんに関わる際に、周囲の大人が気をつけたいポイントは「お子さん本人だけをよく見る」こと、そして「たくさんほめること」です。

発達障害は脳の働き方の違いによって引き起こされているため、お子さん本人でもどうしようもないことなのです。「どうしてあなたはできないの!」ときつく当たったり、あるいは「怠けているだけでしょ」「こんな問題もできないのか!」と詰め寄ってしまうことは、何の解決にもなりません。

発達障害は周囲とはペースが違って当たり前なのです。同学年の子たちを見て焦る気持ちはそっと脇に置き、いまお子さんが頑張っていることだけをみてあげてください。

また「できたことはすぐに褒める」ことも、とても大切なかかわりになります。子どもたちは「褒められる」ことで自信を持っていきますが、発達障害のお子さんは注意が次々と移り変わっていくため、褒めるタイミングが遅れると「何のことで褒められたのか」分からなくなってしまうからです。「すぐに、その場で褒める」を継続することで、お子さんの前向きな姿勢を引き出すことができるでしょう。

またあることができなくても、別のことで補えるという場合もあります。大人はつい「できないこと」ばかりにフォーカスしてしまいがちですが、「AができなくてもBができればOK!」と視点を変えてみてください。周囲の大人が柔軟で楽観的な考え方をすることで、お子さんも自分自身のあり方や取り組みに自信が持てるようになる、ということもあります。

発達障害、あるいはグレーゾーンのお子さんに関わる際は「周囲と比べない」「すぐに褒める」「柔軟に考える」を意識してみてくださいね。

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