ADHDのお子さんは「じっとしていられない」「集中が続かない」「人の話を最後まで聞けない」といった行動特性があります。学校生活で困難に直面することも多く、心配が尽きない親心、よく分かります。
ADHDのお子さんには、どんなサポートが最適なのでしょうか?またもしお子さんが「学校に行きたくない」と言ってきたら、どう対応するのが良いのでしょう?
今回はADHDのお子さんが学校生活で感じやすい困難と適切な対処法、またサポートを受けられる相談先なども合わせてご紹介します。
集団でルールを守って行動すべき場面なのに、自分のこだわりを発揮し衝突してしまうことや、順番を抜かしてしまい友達と揉める、あるいは相手の気持ちを考えずに言いたいことを言ってしまったり、言わなくてもいいことまで言て喧嘩になったりすることもあります。
また自分の気持ちを言葉や行動で適切に表現できず、衝動的に物を投げたり、友達を叩いてしまうといった行動が出ることもあります。
どれもADHDのお子さんに悪気があってやっていることではないのですが、周囲のお子さんにとっては「困ったヤツ」と認定されやすい行動です。同じようなことが何度も起きると、避けられる・仲間外れにされる・暴力沙汰になるといったトラブルにつながることも考えられます。
授業はきちんと聞かないと理解できませんよね。結果、テストの点数は伸び悩み、成績は下がってしまいます。またみんなと同じ活動に参加できないことが続くと、意欲的ではないとされ内申点が下がることも考えられます。
勉強や学校生活に積極的になれない状態が続くことで、無気力になったり無力感におそわれたりする二次障害も心配材料です。
学校に行っても友達と揉めるだけだし、授業は面白くないし……、学校に通う意欲がなくなってしまうのですね。
「学校に行きたくない」という子どもたちの気持ちは、一時的なものである場合と長く続くものである場合とがあります。一時的なものならば「一日休む」「気持ちを切り替える」といったきっかけがあればまた通えるようになりますが、心配なのは行きたくない気持ちが持続する場合です。そのまま不登校になってしまうケースもあるからです。
文部科学省では「児童生徒が病気や経済的状況以外の理由で年間30日以上登校していない場合」を「不登校」としています。また都道府県によっては「7日以上の連続欠席で不登校と認定する」としているところも。
「不登校」と言われる日数が、思ったより少なくて驚かれたでしょうか?
「学校に行きたいと思えなくなる」様子が見られた時は、できるだけ速やかに対策を講じることが大切です。
ADHDのお子さんは、大人が考える以上にさまざまな場面で困難を感じています。私たちが「何気なく」「当たり前に」「暗黙のルールとして」行っていることも、ADHDのお子さんには理解も対応も難しいことだらけなのです。
では、お子さんが学校での過ごし方に困難を訴えてきたとき、どのような対応をするのが適切なのでしょうか。対応すべき順を追って、4つ解説します。
まずはお子さんの話をよく聞いてあげてください。どんな時に困難を感じるのか、できるだけ具体的に聞き出すことがポイントです。
お子さんの話をよく聞くことの目的は、お子さんが置かれている状況を正確に把握し、必要なサポートを見つける手掛かりにすること。
とくに今回は「学校生活」という保護者が手を出せない領域の出来事ですから、学校側の支援を求めることになりますよね。我が子にはどんな支援が必要なのか的確につかむためにも、お子さんが話すことを良く聞くようにしましょう。
まずは「お子さんの話を否定しない」「それはあなたが(友だちが)悪い、と決めつけない」聞き方が大切です。またお子さんの気持ちに寄り添い、話しやすい雰囲気づくりも心がけてください。
ADHDのお子さんは物事をよく整理し、順序立てて伝えることが苦手です。話している最中に話題があっちこっちに逸れてしまうのもよくあること。一度に全容をつかもうとはせず、タイミングを見ながら根気よく話を聞き出すようにしてみてください。
学校に伝える際は、感情的にならず、事実を淡々と伝えるよう心がけましょう。我が子が困っている姿を見るとつい「なんとかしてください!」という気持ちばかりが先走ってしまうこともありますが、それでは建設的な話になりません。
メモに「お子さんが困っている場面」「お子さんの特性」「学校側にしてほしい支援」をまとめ、見ながら話すと冷静さを保てますよ。
また先生からの話もよく聞くよう心がけてくださいね。親御さんが気づいていないお子さんの行動特性や、学校としてできる支援、またできない支援も伝えてくれるはずです。
家庭と学校、お互いが心を開いて歩み寄って話し合い、お子さんが今より過ごしやすくなる方法を見つけていきましょう。
身近なところではかかりつけの小児科が相談しやすいでしょう。小児精神科や発達外来がお近くにある場合は、そちらに足を運んでみるのも方法です。日本小児神経学会のホームページでは、全国の小児神経専門医を検索することもできます。
また自治体に設置されている「保健所/保健センター」「児童相談所/児童相談センター」「発達障害者支援センター」なども利用できます。専門のカウンセラーに相談できたり、子育て全般の相談ができたりもします。
大切なのは、決して一人で抱え込まないことです。お子さまのためにも、相談先として利用できるところは遠慮なく頼ってください。
ADHDのお子さんが学校生活で直面しやすい困難や、解決のための支援方法についてまとめてきました。「落ち着きがない」というADHDの特性は、別の見方をすると「好奇心がとても旺盛で行動的」となります。
お子さんの特性をマイナスに捉えるのではなく、個性として活かしつつ生きやすくするためのサポートを、ぜひ見つけてあげてくださいね。きっと学校が楽しく、行きたくなる場所になるはずです。
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