発達障害の症状の1つ、「自閉症スペクトラム」の症状を持つ子どもへ何かを教える際、他の子どもと同じように言葉による教え方では上手くいかないことが多いです。
自閉症スペクトラムの人は視覚的な世界を強く持っていて、言葉(声)は理解しにくいものだからです。
そういう場合は絵に描いて説明するのがいいんです。
この記事では、自閉症スペクトラムの症状を持つ子どもには言葉より絵で説明することが良いことをお伝えします。
お子様が自閉症スペクトラムを持っている場合、どのようにして教えていけばいいかをお悩みの方に届けば幸いです。
この記事の目次
自閉症スペクトラムを持っている人は、言葉(声)で説明しても理解できないことが多いんです。
想像することが苦手で、ルール化されていないことへの対応も苦手なのが特徴なので、声というのは非常に相性が悪いんですね。
その理由は、例えば
といったことが挙げられます。
自閉症スペクトラムを持つ人は、一度決めたルールを絶対に守るという特性を持っています。
そのため、ルール通り行動する必要のあるお仕事などをするのには向いているのですが、その「ルール」がどこにも書いていない「会話」というものに対応するのがとても難しいです。
さらに、これは臨機応変に行動することができない特性でもあります。
通常、「今から話しますね」と言われてから会話が始まることはほとんどありませんよね。
何かを指示したり注意することは多くの場合突然始まる会話となるでしょう。
これらに対応するのが難しいのです。
そして「ちょっと」や「すぐに」、「あれ(それ)」などの感覚的な表現が多いことも会話の特徴ですが、これらも「ルール」になっているものではなく、本人の感覚次第な部分が強いです。
こうしたことへ対応できない(難しい)ので、声による説明ではわかりにくいんですね。
これに対して、視覚的なものへは割と早くに対応することができるんです。
例えばりんごの説明をするときに、
「赤くて丸い形をしている」
と伝えても全然理解してもらえませんが、紙にりんごの絵を描いて見せるとすぐにわかってもらえます。
「階段を降りるときは気をつけて降りてね」と伝えても、何にどう気をつけるのか、そもそも気をつけるとは何か?と混乱してしまいます。
それを「階段を降りる人の絵」を描き、どの部分を見るのかを矢印などで表現してあげるとよく理解してくれます。
またこれは絵(イラスト)だけでなく文字を書いても理解しやすいようです。
(「階段を降りるときは1、手すりを持つこと 2、足元をよく見て進むこと」などの書き方)
曖昧な表現を使わず、具体的な内容を紙に書く(描く)ということを徹底すると、自閉症スペクトラムを持っている子どもでも驚くほどしっかり理解してくれるでしょう。
もちろんそれがその子にとっての「ルール」となる以上、間違った指示は書かないようにすることや、複数のパターンがある場合の指示出しが難しいことは否めません。
それでも今まで声による指示や説明しかしてこなかった時と比べると、格段の進歩を確認できると思います。
ただし、一度に複数の指示や説明をするのは避けるほうがいいでしょう。
「〇〇しながら△△する」というような説明だと伝わりにくく、なかなか実行・習得することができません。
『先生が黒板に書いている文字をノートに書き取りながら話を聞く』
というのは難しいので、この場合は
『先生が話をしているときは手を止めて聞く』
『先生が話をしていないときに黒板の内容をノートに書く』
のように手順を分けることを意識してください。
自閉症スペクトラムを持っている子どもには、「1度の指示で1つの内容」を徹底し、シンプルでわかりやすい表現を心がけるようにしましょう。
この記事では、自閉症スペクトラムの子どもへ何かを伝える際は、言葉(声)ではなく絵を描こうという内容をお伝えしてきました。
自閉症スペクトラムの子どもは何かを想像したり、臨機応変な対応をするのが苦手です。
ですので、声という目に見えないもので説明や指示をされても理解しにくく、意味が正しく伝わらないことが多いんです。
しかし絵に描いたり紙に文字を書き出して説明すると非常によく理解でき、思っていたより簡単に伝えることができるかもしれません。
このように、自閉症スペクトラム(発達障害)を持っていても、適切な支援や対応をすれば良い結果を得ることができるケースも多々あります。
こうした対応方法も少しずつ知っていき、少しでも本人の生きづらさを解消していけるようにしましょう。